先日、セミナー「従業員不正を防止するために構築すべき内部統制」を開催しました。
レジュメを作成するにあたり、近年の従業員による不正事例を調べていたところ、転売を目的としたパソコンの不正事例が平成24年から平成30年までの新聞記事で3件見つかりました。こんなに同じ事例が頻繁に起こるものなのかと少々驚きました。
そこで、今回はこのパソコンの不正購入にかかる不正事例をご紹介したいと思います。
2.大手メーカー子会社A社のケース
元・・・・子会社社員逮捕=転売狙いパソコン発注容疑-警視庁
(2018年5月17日 時事通信)
時事通信によると、元社員は「子会社の・・・・(現・・・・・、東京)の販売担当者だった2014年1月下旬~4月下旬ごろ、計7回にわたり、取引先に納入すると偽ってノートパソコン14台を卸業者に発注し、・・・・に約350万円を支払わせ、同社に損害を与えた疑い。同署によると、パソコンは取引先に納入せずに自宅に届けさせ、埼玉県内のリサイクルショップに1台数万円で売却していた。」ということです。
3.東証1部上場企業B社のケース
会社パソコン365台購入装い転売 元社員の男に懲役4年 高松地裁
(2017年8月8日 産経新聞)
産経新聞によると、「横山浩典裁判官は判決理由で、上司の印鑑を無断で押すなどして書類を不正に作成し、適切な購入手続きを装った計画的、巧妙な手口で常習性は極めて高いと指摘」し、「判決によると、平成27年1月~28年6月、自ら購入した計365台のパソコンを・・工業が購入したと装い、代金約3600万円を社名義の口座から家電量販店名義の口座に振り込ませた。」ということです。
4.大手メーカー子会社C社のケース
会社のパソコン、転売目的で購入 背任容疑で男を逮捕
(2012年3月8日 日本経済新聞)
日本経済新聞によると、元社員は「転売目的でパソコンを不正発注し」、「パソコンをネットオークションで売却し、借金返済や遊興費に使っていた。計約320台(7千万円相当)を不正発注した可能性がある。」
「逮捕容疑は、・・・・・・・・システムサービス(東京・千代田)で所属グループの資機材発注を担当していた2010年2~4月、業務に必要のないパソコン40台を取引先に発注し、会社に計約800万円の損害を与えた疑い。」ということです。
5.特徴
3つのケースをご紹介しましたが、特徴的なのはうち2社が大手企業の子会社であるということです。
もうひとつの特徴は、これはあくまで推測ですが、内部統制のデザインそのものに不備があったのではないかと思われることです。
パソコンは昔と比べると購入しやすい価格になりましたが、それでも決して安くはないものです。これを堂々と会社のお金を使って購入し、転売しているのですから驚きます。
こういった従業員不正が発生する理由は、上記の通り、内部統制の不備にあると推測されますが、次回以降、この不備とその対策について記載していきたいと思います。
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