2018年6月9日土曜日

役員の任期の計算方法~公益法人・社会福祉法人

1.概要
 6月になりましたが、公益法人及び一般社団法人等や社会福祉法人におかれましても理事会や社員総会、評議員会の開催準備が進んでいるものと思われます。
 今回は、平成29年6月12日に掲載した「理事及び監事の就任日~社会福祉法人」のうち役員の任期の計算方法について、補足する形で記載します。

2.役員の任期
(1)公益法人及び一般社団法人等
 役員の任期について、まず公益法人及び一般社団法人等ですが、法令では理事及び監事の任期についてそれぞれ、次のように規定されています。

(イ)理事の任期
「理事の任期は、選任後二年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時社員総会の終結の時までとする。ただし、定款又は社員総会の決議によって、その任期を短縮することを妨げない。」(一般社団法人及び一般財団法人に関する法律(以下「一般法」)66条)。

(ロ)監事の任期
「監事の任期は、選任後四年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時社員総会の終結の時までとする。ただし、定款によって、その任期を選任後二年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時社員総会の終結の時までとすることを限度として短縮することを妨げない。」(一般法67条)。
 
 実務では、監事の任期については、ただし書きを適用している法人が多く見受けられます。理由は、これにより理事と監事の任期が同じになるため、手続を行いやすくなるからです。

(2)社会福祉法人
 社会福祉法人については、理事と監事に分けず、役員としての任期が定められています。

「役員の任期は、選任後二年以内に終了する会計年度のうち最終のものに関する定時評議員会の終結の時までとする。ただし、定款によつて、その任期を短縮することを妨げない。」(社会福祉法45条)

(3)留意点
 社会福祉法人では、以前は任期は「2年」という定め方がされていましたが、新社会福祉法になってからは上記のような規定となりましたので、必ずしも丸々2年とは限らないという点に留意する必要があります。

3.任期の計算方法
 任期の計算方法について、平成29年6月12日のブログでは図がなかったので、わかりにくい面もあったかと思います。
 そこで、今回は図を用いて説明します。

【図1】

 なお、【図1】は、公益・一般財団法人や社会福祉法人が評議員会を開催して役員を選任するケースです。公益・一般社団法人では「評議員会」が「社員総会」になります。

(1)(A)のケース
 (A)のケースは、期末日前の✕2年3月20日に臨時評議員会や臨時社員総会が開催されて役員が専任されるケースです。
 この場合、「選任後二年以内に終了する会計年度」とは✕2年3月31日に終了する会計年度と✕3年3月31日に終了する会計年度となります。
 次に、選任後二年以内に終了する会計年度のうち最終のもの」は✕3年3月31日に終了する会計年度となります。
 従って、選任後二年以内に終了する会計年度のうち最終のものに関する定時評議員会の終結の時まで」とは、✕3年3月31日に終了する会計年度に関する定時評議員会や定時社員総会、すなわち、✕3年6月△日に開催される定時評議員会、定時社員総会の終結の時までとなります。
 このケースでは、就任期間は約1年3ヶ月となります。

(2)(B)のケース
 (B)のケースは、いわば通常のケースです。
 こちらも同様に、「選任後二年以内に終了する会計年度のうち最終のもの」とは✕3年3月31日に終了する会計年度となります。
 従って、「選任後二年以内に終了する会計年度のうち最終のものに関する定時評議員会の終結の時まで」とは、✕3年6月△日に開催される定時評議員会、定時社員総会の終結の時までとなります。
 この場合、就任期間は2年間よりも数日短い、または数日長いということが多くなると思います。

(3)(C)のケース
 (C)のケースは期末日後、定時評議員会・定時社員総会の前である✕1年4月20日に就任したケースです。
 こちらも同様に、「選任後二年以内に終了する会計年度のうち最終のもの」とは✕3年3月31日に終了する会計年度となります。
 従って、「選任後二年以内に終了する会計年度のうち最終のものに関する定時評議員会の終結の時まで」とは、✕3年6月△日に開催される定時評議員会、定時社員総会の終結の時までとなります。
 この場合、就任期間は約2年2ヶ月となります。

4.最後に
 (B)のケースは間違えることが少ないのですが、(A)や(C)のケースは失念されるケースが多いので注意が必要です。特に(A)のケースは間違えやすいので注意が必要です。
 (A)や(C)のケースで役員を選任した場合、【図1】のような時系列表を記載して、任期を確認するとよいでしょう。そのうえで、就任承諾書には就任期間として「○年度の評議員会(社員総会)の終結の時までとする。」と記載します。
 さらに、管理表を作成し、○年度の定時評議員会・定時社員総会ではどの役員の改選となるのかを記載しておくとよいと思います。
 


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