2017年6月12日月曜日

理事及び監事の就任日~社会福祉法人

 6月も半ばに入りましたが、社会福祉法人では、これから下旬にかけて、新制度では初めての定時評議員会が開催される法人が多いと思います。この定時評議員会では、新理事や新監事が選任されます。
 そこで、今回は理事及び監事の就任日などについて記載します。

1.理事及び監事の就任日
 理事及び監事の就任日は、理事及び監事が就任を承諾した日となります。
 一方、理事及び監事の任期の起算日は、選任時(選任決議をした時)となります(Q&A問132参照。なお社会福祉法(以下「法」)45条)。
 具体例をあげると、評議員会の開催日が平成29年6月23日、就任承諾をした日が同年7月1日であるとすると、任期の起算日は同年6月23日となり、就任日は同年7月1日となります。

 実務上、新しい理事及び監事が就任する場合、例えば、前職の任期が残っているため、就任日を遅らせる必要性が生じることも想定されます。このような場合、就任承諾の日を評議員会終結の時よりも遅らせることはできます。
 しかし、Q&A問132に記載されているように、就任日を遅らせることで任期の起算日を遅らせることはできません。

【参考 Q&A問132より】
 任期の起算点を「就任時」とすると、就任承諾は被選任者の意向に委ねられる結果、評議員会の選任決議と就任承諾との間に長期間の隔たりがある場合などにおいて、任期の終期が評議員会の意思に反する事態が生じかねないため、任期の起算点は、評議員会における「選任時」となる。

2.任期の計算方法
 任期の起算日とは、任期を計算する最初の第一日をいいます。
 理事及び監事の任期は、新制度においては、ちょうど2年間という数え方ではなくなりました。
 まず、条文を引用します。法45条では、

 「役員の任期は、選任後二年以内に終了する会計年度のうち最終のものに関する定時評議員会の終結の時までとする。ただし、定款によつて、その任期を短縮することを妨げない。」

 とされています。
 そうなると、必ずしも任期は2年間ちょうどとは限らず、2年間よりも長いケースや、2年間よりも短いケースもでてきます。
 例えば、平成29年6月23日に評議員会を開催した社会福祉法人が、平成31年6月26日に評議員会を開催するとします。(注:平成は平成30年で終了しますが便宜のため平成を使用します。)
 この場合、2年間よりも少し長い期間となりますが、問題はありません。その根拠を条文の要件に従ってみてみます。
 
 「選任後二年以内に終了する会計年度」ですから、この場合、平成29年6月23日から2年以内に終了する会計年度とは平成29年度と平成30年度となります。
 次に、これらの「会計年度のうち最終のもの」とは、平成30年度となります。
 そして、この平成30年度「に関する定時評議員会の終結の時まで」ですから、この場合の評議員会は平成31年6月26日の評議員会となります。
 逆に、平成31年6月21日に評議員会を開催した場合でも同じです。この場合は、2年間よりも少し短い期間となります。

 もう一つ見てみます。
 例えば、平成30年3月27日に評議員会が開催され、理事ないし監事が選任されたとします。この場合は、「選任後二年以内に終了する会計年度」とは、平成29年度と平成30年度となります。平成30年3月27日から2年以内に訪れる決算日は平成30年3月31日と平成31年3月31日です。平成32年3月31日だと2年を超えてしまうからです。
 この平成29年度と平成30年度のうち、「最終のもの」ですから、平成30年度となります。そのため、例えば平成31年6月24日に定時評議員会を開催する場合、任期はこの日までとなります。そうなると、任期の期間は約1年3ヶ月となります。

3.就任承諾書の記載方法
 理事及び監事は法人とは委任の関係にあたりますので(法38条)、就任にあたっては、本人の就任承諾が必要です。
 就任承諾にあたっては、通常、就任承諾書をいただくことになります。
 この就任承諾書において、就任期間を記載する場合ですが、任期の計算方法は上記2のようになりましたので、就任日はともかく、就任期間の終了日については具体的な日付を記載することは避けるほうがよいと考えられます。なぜならば、約2年後の定時評議員会の開催日を現時点で決定することは困難だからです。
 そのため、記載方法としては、「平成30年度定時評議員会の終結の時まで」といった書き方がよいでしょう。
 就任承諾書については、福岡市のページに雛形がありますので、参考とするとよいと思います。