2017年6月5日月曜日

理事長や監事が欠席した場合の理事会について~社会福祉法人

1.概要
 社会福祉法人においても、監事は理事会への出席が義務付けられました(社会福祉法(以下「法」)45条の18③、一般社団法人及び一般財団法人に関する法律(以下「一般法」)101条①)。
 また、理事会の議事録(書面で作成されている場合)の署名又は記名押印を行うのは、原則は、出席した理事全員と監事ですが、定款で定めることにより、出席した理事長と監事とすることができる旨が定められました(法45条の14⑥)。
 そこで、今回は、理事長や監事が欠席した場合の理事会成立の可否及び議事録への署名又は記名押印について説明します。

2.理事長が欠席した場合
 理事長が欠席した場合でも、定足数を満たしていれば理事会は成立します(法45条の14④)。

 次に、議事録への署名又は記名押印ですが、定款で、署名又は記名押印を行う者を出席した理事長及び監事としている場合、法令では、「定款で議事録に署名し、又は記名押印しなければならない者を当該理事会に出席した理事長とする旨の定めがある場合にあつては、当該理事長」(法45条の14⑥)と定められていることから、理事長が欠席した場合はこの要件を満たさないことになります。
 そのため、理事長が欠席した場合は、この容認規定は適用できないため、原則規定の適用となり、出席した理事全員と監事全員が署名又は記名押印を行うことになります。

3.監事が欠席した場合
 監事が欠席した場合でも、理事会は成立します。たとえ監事全員が欠席した場合でも理事会は成立します。

 次に、議事録への署名又は記名押印ですが、定款で、署名又は記名押印を行う者を出席した理事長及び監事としている場合について説明します。
 理事長が出席していれば、監事の一部が欠席していても、理事長と出席した監事が署名又は記名押印すれば問題はありません。
 また、監事全員が欠席した場合でも、理事長が出席していれば理事長のみの署名又は記名押印で問題はありません。

 なお、法令上の問題はなくとも、監事の欠席は、理事の職務の執行の監査を行うという監事の目的を達成するための手段を放棄していることになり、ガバナンス面で問題があります。従って、監事は全員が出席することが望まれます。
 なお、万が一、監事が欠席した場合は、理事会議事録にその旨、その理由を記載しておくとよいでしょう。記載する場所は、どこでも結構です。

 以上、参考としていただけますと幸いです。