2019年8月3日土曜日

公認会計士試験が埼玉県で実施されない理由

1.令和元年公認会計士試験の会場

令和元年8月 23 日、24 日及び 25 日に令和元年公認会計士試験が実施されます。本日は令和元年8月3日なので、あと約3週間後となります。
 私も身近に論文式試験受験者がいるので、頑張って欲しいと思っています。
 
 さて、少し前になりますが、令和元年7月23日に、公認会計士試験の試験場が発表されました。試験場の一覧は金融庁の「令和元年公認会計士試験論文式試験の試験場について」に掲載されています。

 全国の会場のうち、関東と近畿の試験会場を抜粋すると以下のとおりです。

 関 東 財 務 局   
①目黒区駒場3丁目8番1号 東京大学(駒場キャンパス)
②葛飾区新宿6丁目3番1号 東京理科大学(葛飾キャンパス)

 近 畿 財 務 局  
茨木市岩倉町2番 150 号 立命館大学(大阪いばらきキャンパス)


2.埼玉県で実施されない理由

上記のように、関東では、東京都目黒区の東大駒場キャンパスと東京都葛飾区の東京理科大葛飾キャンパスが会場となっています。
 また、近畿では、大阪府茨木市の立命館大学いばらきキャンパスとなっています。
 このように、公認会計士試験では、毎年、関東財務局の管轄地では東京都、近畿財務局の管轄地では大阪府が試験会場となっています。
 
 それでは、公認会計士試験は、例えば埼玉県では実施されないのでしょうか。
 実は、税理士試験では東京都に加えて、埼玉県も試験地になっています。これを見ると、公認会計士試験も埼玉県で実施できそうな感じもします。ちなみに、関東財務局はさいたま市にあります。

 しかしながら、原則として公認会計士試験は埼玉県では実施されません。
 なぜかというと、公認会計士試験の試験実施地は公認会計士試験規則第2条で「公認会計士試験は、毎年一回以上、東京都、大阪府、北海道、宮城県、愛知県、石川県、広島県、香川県、熊本県、福岡県、沖縄県その他審査会の指定する場所において行う。」と定められていて、埼玉県は入っていないからです。
 
 一方、税理士試験の試験実施地については、税理士法第5条で「税理士試験は、北海道、宮城県、埼玉県、東京都、石川県、愛知県、大阪府、広島県、香川県、福岡県、熊本県、沖縄県及び国税審議会の指定するその他の場所において行う」と定められています。こちらでは、埼玉県が明記されています。従って、税理士試験では埼玉県も試験会場になっているというわけです。

 もちろん、これは税理士試験は受験者数がとても多いので、一つの会場では収容しきれないという事情があるのだと思うのですが、試験実施地は実は法令で明確に定められているということがおわかりいただけると思います。
 
 ただし、税理士試験は、近畿では、大阪府に加えて京都府で実施されることもあります(令和元年度は京都会場はなし。)。しかし、税理士法第5条では「京都府」の地名は記載されていません。推測ですが、おそらく「国税審議会の指定するその他の場所において行う」という条文が根拠となっているのだと思います。
 その意味でいくと、公認会計士試験規則にも「その他審査会の指定する場所において行う。」と記載されているので、東京都や大阪府など明記されている都道府県以外の場所でも試験地になる可能性はあるかもしれません。
 可能性があるとすると、公認会計士試験の短答式受験者が激増し、一つの大学等で収容しきれなくなったときでしょうか。
 しかしながら、現時点では、受験者数から見ても、埼玉県や京都府、あるいは神奈川県や兵庫県といった他地域で公認会計士試験が実施されることはないといえます。

3.試験会場に関する注意点

最後に、試験会場に関する注意点を記載しておきます。受験生の方の参考となれば幸いです。

①下見はかならず行くこと
 乗車する電車、乗換駅、降車駅を確認するとともに、降車駅から会場までの道順、時間もつかんでおく必要があります。また、大学会場の場合、正門から校舎までの距離もかなりあるキャンパスもあるので、そのあたりも事前チェックしておく必要があります。

②試験会場に近いホテルに宿泊すること
 これは、交通機関の遅延リスクを低減することと疲労をためないことが理由です。
 当日は、人身事故などで鉄道が止まるリスクもあります。このような場合、試験会場に近いホテルであれば、バスやタクシーで試験会場に到着することができます。
 また、試験当日はとても疲れます。しかも真夏なのでとても暑く、さらに疲れます。できる限り、電車に乗る時間を減らしたほうが、体力の消耗を防ぐことができます。

③机が小さい場合も想定すること
 大学の会場によくありがちですが、机がとても小さいときがあります。机が小さい場合、机上における文房具が限られてくるので、最低限置くものをあらかじめ決めておくとよいです。
 ちなみに、試験会場が合同庁舎の場合、机は長机で広いことが多いようです。
 机のサイズが受験地によって違うのは不公平な感じがしますが、広い机を求めて合同庁舎が会場となる地域で受験して合格した公認会計士もいるということです。