1.最近のドラッグストアの経営成績
平成31年3月19日の日本経済新聞に「ドラッグストア、消耗戦に 売上高増も利益減
人件費増、爆買い鈍化が重荷」(会員専用)という見出しの記事が掲載されていました。
会員専用の記事なので、内容の詳細は記載できないのですが、記事によると、ドラッグストアは店舗数拡大などにより売上は増加しているものの、マツモトキヨシホールディングス(以下HD)、サンドラッグ、ココカラファイン、スギHD、ウエルシアHDの大手5社のうち、18年度第3四半期にマツモトキヨシHDを除く4社が「営業減益」となった、ということです。
ここからは私の補足ですが、少し記事の見出しや説明に「?」と思う点があります。
見出しも含めて、記事や掲載されているグラフは、あたかも営業利益の金額が減少しているような印象をもたらす書き方なのですが、読んでみると、どうも営業利益率の減少のことを言っているようです。ちなみに、営業利益率とは売上高に対する営業利益の割合のことで営業利益÷売上高で算出されます。
例として、ウエルシアの四半期報告書をみると、第2四半期、第3四半期ともに前期と比較すると、売上高、営業利益ともに金額は増加しています。しかしながら、営業利益率は前期と比較すると下落しています。(第二四半期は4.2%から3.9%、第3四半期は3.8%から3.4%)。
2.営業利益率下落の理由
ということで、今回の論点は大手ドラッグストアの営業利益率の下落ということで進めていきますが、その構造は簡単にいうと、売上高は増加しているものの、特に薬剤師の数が不足しているため薬剤師の給料を含めた人件費が増加し、売上高増加の割には営業利益は伸びていない、というものです。
売上高が増加しているのは、店舗数が増加してるためですが、この店舗数が増加している理由の一つは市場シェア拡大のためと考えられます。
ある地域に大手が複数店を出店すると、多くの場合、その近隣には他のドラッグストアは出店しにくくなります。このようにして、その地域の住民がそのドラッグストアに流れるようにして、主要な地域を押さえていくというわけです。
しかし、そうなると、薬剤師の数も必要となり、人件費が増加します。
それだけではなく、営業時間の拡大も人件費増加の原因となっています。例えば、ウエルシアの場合、24時間営業を始めましたが、営業時間が長くなれば、店舗スタッフへの夜勤手当が発生しますし、アルバイトの時給単価も夜間の場合は昼間よりも高くなります。夜勤勤務の人手の確保も必要です。
近年、ドラッグストアの営業時間は長くなる傾向にありますが、その結果、それに伴う給与手当も増加するので、売上高も増加するものの、一方で人件費も増加するため営業利益の増加率が売上高の増加率よりも低くなる傾向になります。
3.業界再編?
他にもドラッグストアの経営成績が低下するリスク要因はあるのですが、これらを総合して、日経の記事では、成長を続けてきたドラッグストアが試練の時を迎えているという内容を記載しています。
業界再編が終了した感じがするドラッグストアですが、今後の先行きが不透明となると、再度業界再編が起こる可能性があります。
実は、株式会社日本M&Aセンターは、業界再編には法則があるとして、その一つに「50:70の法則」を掲げています。
これは、上位10社のシェアが約50%に達すると、大手が中小を買収するなどの業界再編が起こり、さらに上位10社のシェアが70%に達すると、上位10社の統合が始まるというものです。そして、最終的には大手4社に集約されて、業界再編が終了するということです(「業界再編時代のM&A戦略」渡部恒郎著(幻冬舎)P37~39)。
これは、理論や科学に基づくものではなく、経験則に基づく指標であり、シェアをどの指標で見るのかで変わってくるとは思いますが、上記の「業界再編時代のM&A戦略」(2015年9月に発刊された本ですが)は、ドラッグストアについても「ドラッグストア業界の再編は最終局面へ向かっている」と記載しています。
現状は、まだ大手が中小ドラッグストアを吸収合併している状況が続いています。例えば、2018年1月のサンケイビズでは「ドラッグストア、首位めぐりM&A火花 成長頭打ち…安値攻勢強化」というタイトルで、大手ドラッグストアのM&Aを紹介しています。
この50:70の法則に従えば、市場シェアを売上高で見た場合、ウエルシア、ツルハ、マツモトキヨシといった上位10社の売上高合計が業界売上高の約70%に達すると、大手同士のM&Aが起こるということになります。実際は、どのタイミングで大手同士が動くのかは予測できませんが、営業利益率が下落傾向にある状況を鑑みると、もうそろそろ業界再編が起こってもおかしくはないのかもしれません。
一見、好調に見えるドラッグストアですが、各社、気を抜けない状況が続いているようです。
2019年3月31日日曜日
2019年3月24日日曜日
平成を振り返って~iモードとブラックベリー
1.はじめに
平成31年4月1日に新しい元号が発表され、5月1日からは新しい元号に変わります。
新しい元号に変わるまでにあと約2ヶ月となりました。そのため、最近は「平成最後の・・・」というフレーズをよく耳にします。例えば、「平成最後の甲子園」、「平成最後の大相撲」といった具合です。
平成が終わるといっても、時代が変わるような感覚が現時点では全くないのですが、一つの区切りということで、平成の時代を振り返ってみたいと思います。
そこで、今回は平成の間に起こったイノベーションについて回想してみたいと思います。
2.iモードとブラックベリー
(1)初めてのアメリカ
平成といっても、西暦でいうと1989年1月8日から2019年4月30日までなので約30年間あるのですが、イノベーションという点で私が強烈に印象に残っているのは、アメリカに初めて会計監査に行った平成19年12月から現時点までの約11年間です。
初めて会計監査に行ったときは、同時にアメリカ合衆国にも初めて行ったときでもあるのですが、当時、日本とアメリカの携帯電話は現在とは全く違うものでした。
(2)iモード
平成19年ごろは日本ではスマートフォンはまだ普及しておらず、今でいう「ガラケー」が主流でした。この「ガラケー」ですが、当時は「ケータイ」という呼び方をしていました。
このケータイでは、通話ができることはもちろんですが、日本のケータイではメールやインターネットを使用することができました。今では当然のように思えますが、実は、これは画期的なことでした。
これを牽引したのがNTTドコモのiモードでした。このiモードですが、コトバンクのブリタニカ国際大百科事典の解説によると、以下のように記載されています。
「エヌ・ティ・ティ・ドコモ (NTTドコモ) が 1999年2月から開始した携帯電話のインターネット接続サービス。携帯電話を使って情報サービス提供者が提供する各種サービスをオンラインで利用することができる。電子メールの送受信をはじめ,チケット予約やタウン情報など各種情報サービスのほか,銀行振り込みなどモバイル・バンキングの利用が可能である。(中略) 契約数の増加は著しく,2000年8月には 1000万を突破。 1999年4月以降,日本移動通信 IDOや第二電電 DDI系のセルラーなどほかの事業者も同様のサービスを開始した。」
iモードによって、日本のケータイは飛躍的に便利になりました。
そして、日本人のライフスタイルは大きく変わったといっても過言ではなかったと思います。
ケータイでニュース、天気、交通案内も知ることができるようになり、場所を問わずリアルタイムで様々な情報を知ることができるようになりました。また、着信メロディ(着メロ)、デコレーションメール(デコメ)などが流行り、これを発信する会社も多数現れました。
当時、日本のケータイは、他の先進国よりも進んでいたと思います。実際、iモードは他国の通信会社に技術を供与して「世界進出」を行おうとしていました。
(3)ブラックベリー
一方、アメリカではどうだったかというと、日本のiモードのようなインターネット接続サービスは進んでおらず、ケータイは通話中心の使い方でした。
そのような中、アメリカではブラックベリー(Black Berry)というスマートフォンがありました。これはビジネスマン中心に使用されていたものでした。
ブラックベリーは、今のスマートフォンの原型のようなものです。私が見せてもらったのは黒色のもので、上3分の2ぐらいが画面で、下3分の1ぐらいにアルファベットのキーボードがついていたと記憶しています。
いまのスマートフォンは全体が画面で、文字を入力するシーンのときに下の方にキーボードが出てくるというものですが、ブラックベリーはキーボードそのものがついていました。キーボードはパソコンと同様、アルファベットが並んでいるものでした。
Webで画像検索すれば、いくつか出てくるのでご覧いただければよいかと思います。
このブラックベリーであれば、通話はもちろん、メール送受信やWeb閲覧もできました。
ちなみに、ブラックベリーをコトバンクのASCII.jpデジタル用語辞典でみてみると、以下のように記載されています。
「カナダのリサーチ・イン・モーション社が開発したスマートフォン。キーボードを搭載し、電子メール、Web閲覧、スケジュールやアドレス帳の管理、通話、インスタントメッセージ、オフィス文書の閲覧などが可能。会社メールを暗号化して安全に転送できることと、メールを即時着信するプッシュ型の電子メールを採用し、すぐに連絡が取れることから、ビジネス用のメール端末として人気が高い。日本では、NTTドコモが販売している。」
上記のように、私はアメリカに行ったとき、初めてブラックベリーを見ましたが、日本ではiモードが浸透していたため、正直なところ、私自身はものすごく画期的な製品には見えませんでした。聞く限り、機能的にはそれほど変わらないと思ったからです。もちろん、アメリカ居住者ではないため、ブラックベリーを使ったことはなく、使っている人からの話と外観だけの判断ではありますが。
しかし、私の印象とは裏腹に、アメリカやヨーロッパではブラックベリーの人気は高かったようで、市場シェアも高まっていったそうです。
3.平成を振り返って
しかしながら、iモードもブラックベリーも当時の勢いは続かず、いまでは完全な下火となってしまいました。
原因は、アップルのiPhoneとグーグルのAndroidがスマートフォン市場で圧倒的なシェアをとったからです。
私が初めてアメリカに行ったのが平成19年(2007年)12月でしたが、ウィキペディアを見てみると、iPhoneは2007年1月に、Androidは2008年にそれぞれ発売されたということです。従って、私がブラックベリーを知った時期は、ブラックベリーの終わりの始まりだったといえそうです。
このときから約10年で市場は一変しました。今の若い人はiモードといっても知らない人が多いと思います。私も、10年の間にこれほど激変するとは予測しませんでした。
当時、日本のケータイのほうがアメリカよりも進んでいたはずなのですが、今では見る影もありません。
アメリカは平成とは無関係ですが、それでも平成を振り返ってみると、強烈な印象として残っているのが、この携帯電話、スマートフォンのイノベーションです。
「時代は繰り返す」とはいいますが、このイノベーションの歴史をリアルに知っているがゆえに、次の10年後、いや5年後や3年後かもしれませんが、また人間の生活をドラスティックに一変させるイノベーションが出てくるのだろうと思っています。
未来を予測するのはなかなか難しいですが、少なくとも現在の技術は、今後間違いなく古いものになるということは間違いありません。そのため、現状に満足していると時代に取り残されます。
従って、常に、いま起こっていることは古いものなんだ、という認識を持つことが大事だと思っています。
平成31年4月1日に新しい元号が発表され、5月1日からは新しい元号に変わります。
新しい元号に変わるまでにあと約2ヶ月となりました。そのため、最近は「平成最後の・・・」というフレーズをよく耳にします。例えば、「平成最後の甲子園」、「平成最後の大相撲」といった具合です。
平成が終わるといっても、時代が変わるような感覚が現時点では全くないのですが、一つの区切りということで、平成の時代を振り返ってみたいと思います。
そこで、今回は平成の間に起こったイノベーションについて回想してみたいと思います。
2.iモードとブラックベリー
(1)初めてのアメリカ
平成といっても、西暦でいうと1989年1月8日から2019年4月30日までなので約30年間あるのですが、イノベーションという点で私が強烈に印象に残っているのは、アメリカに初めて会計監査に行った平成19年12月から現時点までの約11年間です。
初めて会計監査に行ったときは、同時にアメリカ合衆国にも初めて行ったときでもあるのですが、当時、日本とアメリカの携帯電話は現在とは全く違うものでした。
(2)iモード
平成19年ごろは日本ではスマートフォンはまだ普及しておらず、今でいう「ガラケー」が主流でした。この「ガラケー」ですが、当時は「ケータイ」という呼び方をしていました。
このケータイでは、通話ができることはもちろんですが、日本のケータイではメールやインターネットを使用することができました。今では当然のように思えますが、実は、これは画期的なことでした。
これを牽引したのがNTTドコモのiモードでした。このiモードですが、コトバンクのブリタニカ国際大百科事典の解説によると、以下のように記載されています。
「エヌ・ティ・ティ・ドコモ (NTTドコモ) が 1999年2月から開始した携帯電話のインターネット接続サービス。携帯電話を使って情報サービス提供者が提供する各種サービスをオンラインで利用することができる。電子メールの送受信をはじめ,チケット予約やタウン情報など各種情報サービスのほか,銀行振り込みなどモバイル・バンキングの利用が可能である。(中略) 契約数の増加は著しく,2000年8月には 1000万を突破。 1999年4月以降,日本移動通信 IDOや第二電電 DDI系のセルラーなどほかの事業者も同様のサービスを開始した。」
iモードによって、日本のケータイは飛躍的に便利になりました。
そして、日本人のライフスタイルは大きく変わったといっても過言ではなかったと思います。
ケータイでニュース、天気、交通案内も知ることができるようになり、場所を問わずリアルタイムで様々な情報を知ることができるようになりました。また、着信メロディ(着メロ)、デコレーションメール(デコメ)などが流行り、これを発信する会社も多数現れました。
当時、日本のケータイは、他の先進国よりも進んでいたと思います。実際、iモードは他国の通信会社に技術を供与して「世界進出」を行おうとしていました。
(3)ブラックベリー
一方、アメリカではどうだったかというと、日本のiモードのようなインターネット接続サービスは進んでおらず、ケータイは通話中心の使い方でした。
そのような中、アメリカではブラックベリー(Black Berry)というスマートフォンがありました。これはビジネスマン中心に使用されていたものでした。
ブラックベリーは、今のスマートフォンの原型のようなものです。私が見せてもらったのは黒色のもので、上3分の2ぐらいが画面で、下3分の1ぐらいにアルファベットのキーボードがついていたと記憶しています。
いまのスマートフォンは全体が画面で、文字を入力するシーンのときに下の方にキーボードが出てくるというものですが、ブラックベリーはキーボードそのものがついていました。キーボードはパソコンと同様、アルファベットが並んでいるものでした。
Webで画像検索すれば、いくつか出てくるのでご覧いただければよいかと思います。
このブラックベリーであれば、通話はもちろん、メール送受信やWeb閲覧もできました。
ちなみに、ブラックベリーをコトバンクのASCII.jpデジタル用語辞典でみてみると、以下のように記載されています。
「カナダのリサーチ・イン・モーション社が開発したスマートフォン。キーボードを搭載し、電子メール、Web閲覧、スケジュールやアドレス帳の管理、通話、インスタントメッセージ、オフィス文書の閲覧などが可能。会社メールを暗号化して安全に転送できることと、メールを即時着信するプッシュ型の電子メールを採用し、すぐに連絡が取れることから、ビジネス用のメール端末として人気が高い。日本では、NTTドコモが販売している。」
上記のように、私はアメリカに行ったとき、初めてブラックベリーを見ましたが、日本ではiモードが浸透していたため、正直なところ、私自身はものすごく画期的な製品には見えませんでした。聞く限り、機能的にはそれほど変わらないと思ったからです。もちろん、アメリカ居住者ではないため、ブラックベリーを使ったことはなく、使っている人からの話と外観だけの判断ではありますが。
しかし、私の印象とは裏腹に、アメリカやヨーロッパではブラックベリーの人気は高かったようで、市場シェアも高まっていったそうです。
3.平成を振り返って
しかしながら、iモードもブラックベリーも当時の勢いは続かず、いまでは完全な下火となってしまいました。
原因は、アップルのiPhoneとグーグルのAndroidがスマートフォン市場で圧倒的なシェアをとったからです。
私が初めてアメリカに行ったのが平成19年(2007年)12月でしたが、ウィキペディアを見てみると、iPhoneは2007年1月に、Androidは2008年にそれぞれ発売されたということです。従って、私がブラックベリーを知った時期は、ブラックベリーの終わりの始まりだったといえそうです。
このときから約10年で市場は一変しました。今の若い人はiモードといっても知らない人が多いと思います。私も、10年の間にこれほど激変するとは予測しませんでした。
当時、日本のケータイのほうがアメリカよりも進んでいたはずなのですが、今では見る影もありません。
アメリカは平成とは無関係ですが、それでも平成を振り返ってみると、強烈な印象として残っているのが、この携帯電話、スマートフォンのイノベーションです。
「時代は繰り返す」とはいいますが、このイノベーションの歴史をリアルに知っているがゆえに、次の10年後、いや5年後や3年後かもしれませんが、また人間の生活をドラスティックに一変させるイノベーションが出てくるのだろうと思っています。
未来を予測するのはなかなか難しいですが、少なくとも現在の技術は、今後間違いなく古いものになるということは間違いありません。そのため、現状に満足していると時代に取り残されます。
従って、常に、いま起こっていることは古いものなんだ、という認識を持つことが大事だと思っています。
2019年3月17日日曜日
貸倒懸念債権の貸借対照表上での表示
1.はじめに
債権は貸倒見積高の算定にあたっては①一般債権、②貸倒懸念債権、③破産更生債権等に区分されます(金融商品会計基準27項)
では、これらの債権は貸借対照表ではどの区分に表示すればよいのかというと、この点については制度上、明記がありません。
そこで、今回は、債権の貸借対照表表示について記載します。
なお、本稿は私見であることにご留意ください。
2.貸借対照表での表示
貸借対照表のでの表示ですが、①一般債権と③破産更生債権等については問題はないでしょう。
①一般債権は流動資産に計上されます。科目名でいうと、受取手形、売掛金、リース債権、完成工事未収入金といった科目となります。
③破産更生債権等は固定資産のうち投資その他の資産に計上されます。こちらの科目名は破産更生債権等となります(財務諸表規則32条1項10号)。
ここまでは問題はないのですが、では②貸倒懸念債権についてはどの区分に表示すればよいのかが問題となります。
3.正常営業循環基準
(1)貸倒懸念債権の意義
まず、貸倒懸念債権の意義について記載します。
貸倒懸念債権とは「経営破綻の状態には至っていないが、債務の弁済に重大な問題が生じているか又は生じる可能性の高い債務者に対する債権」をいいます(金融商品会計基準27項(2))。
イメージとしては、まだ経営破綻には至っていないので相手方も苦しいながらも経営は続けているため回収可能性は残されているものの、請求を行ってもなかなか入金がされないような債権というものです。
(2)流動資産と固定資産の区分法
次に、貸借対照表の流動資産と固定資産の区分法について記載します。
まず、流動資産と固定資産の区分は「正常営業循環基準」によります。
次に、正常営業循環基準で区分できないものについては「1年基準」によります。
正常営業循環基準とは、文字通り、正常な営業サイクル(例:販売業でいえば、仕入→販売→入金)に属する資産及び負債は流動項目とし、それ以外は固定項目とするというものです。
一方、1年基準は、正常営業循環基準に該当しない科目について、決算日後1年以内に回収や支払が行われる資産及び負債を流動項目、1年を超える資産及び負債については固定項目とするものです。
この流動・固定分類については結構誤解されがちですが、まず第1次的には「正常営業循環基準」が適用されます。1年基準で区分するようなイメージを持たれている方も多いのですが、1年基準はあくまで2次的な区分法です。
正常営業循環基準によれば、1年で投資の回収ができないものも流動資産に計上されることがあります。例えば、長期請負工事における完成工事未収入金です。工事期間が1年を超える長期工事においては、請負工事に対する債権の回収も1年を超えてきます。しかしながら、この債権は長期工事という正常な営業サイクルに属するものなので、流動資産に計上されます。
(3)破産更生債権等が固定資産に区分される理由
そのため、 経営状態に重大な問題が生じていない債務者に対する債権である一般債権は当然のことながら流動資産に計上されます。正常な営業サイクルに属する債権だからです。
では、破産更生債権等が固定資産に区分される理由ですが、これは破産更生債権等は、経営破綻又は実質的に経営破綻に陥っている債務者に対する債権であることから、正常な営業サイクルから外れた債権であるためです。経営破綻に陥った場合、会社に対する売上債権については、こちらが請求を行っても支払ってはくれません。例えば、債権者集会を経た後、清算配当が払われる形となります。配当があればまだよいかもしれません。少なくとも全額の回収はまず無理です。すなわち、正常な営業サイクルからは外れてしまっています。
そのため正常営業循環基準により、固定資産に区分されるとされているものと解されます。
4.貸倒懸念債権の表示
これらを鑑みると、貸倒懸念債権は「経営破綻の状態には至っていないが、債務の弁済に重大な問題が生じているか又は生じる可能性の高い債務者に対する債権」であるため、貸倒懸念債権の状態では、まだ正常な営業サイクルに属している債権といえます。
このような入金が滞っている場合は、通常は取引は停止しますが、請求は続けていきます。その請求により、金額や入金時期は不規則ですが、少しづつ入金はされていくケースもあります。そのため、投資の回収を行っている状況にあることから、依然として正常な営業サイクルに属する債権といえます。
なお、参考ですが、「金融商品会計に関する実務指針」112項では、貸倒懸念債権の要件について具体的に記載しています。
「債務の弁済に重大な問題が生じているとは、現に債務の弁済がおおむね1年以上延滞している場合のほか、弁済期間の延長又は弁済の一時棚上げ及び元金又は利息の一部を免除するなど債務者に対し弁済条件の大幅な緩和を行っている場合が含まれる。」
「債務の弁済に重大な問題が生じる可能性が高いとは、業況が低調ないし不安定、又は財務内容に問題があり、過去の経営成績又は経営改善計画の実現可能性を考慮しても債務の一部を条件どおりに弁済できない可能性の高いことをいう。」
「財務内容に問題があるとは、現に債務超過である場合のみならず、債務者が有する債権の回収可能性や資産の含み損を考慮すると実質的に債務超過の状態に陥っている状況を含む。 」
従って、回収ペースは落ちているものの、債権の回収段階にある貸倒懸念債権は正常な営業サイクルに属しているといえますので、正常営業循環基準により流動資産に区分することが妥当といえます。
債権は貸倒見積高の算定にあたっては①一般債権、②貸倒懸念債権、③破産更生債権等に区分されます(金融商品会計基準27項)
では、これらの債権は貸借対照表ではどの区分に表示すればよいのかというと、この点については制度上、明記がありません。
そこで、今回は、債権の貸借対照表表示について記載します。
なお、本稿は私見であることにご留意ください。
2.貸借対照表での表示
貸借対照表のでの表示ですが、①一般債権と③破産更生債権等については問題はないでしょう。
①一般債権は流動資産に計上されます。科目名でいうと、受取手形、売掛金、リース債権、完成工事未収入金といった科目となります。
③破産更生債権等は固定資産のうち投資その他の資産に計上されます。こちらの科目名は破産更生債権等となります(財務諸表規則32条1項10号)。
ここまでは問題はないのですが、では②貸倒懸念債権についてはどの区分に表示すればよいのかが問題となります。
3.正常営業循環基準
(1)貸倒懸念債権の意義
まず、貸倒懸念債権の意義について記載します。
貸倒懸念債権とは「経営破綻の状態には至っていないが、債務の弁済に重大な問題が生じているか又は生じる可能性の高い債務者に対する債権」をいいます(金融商品会計基準27項(2))。
イメージとしては、まだ経営破綻には至っていないので相手方も苦しいながらも経営は続けているため回収可能性は残されているものの、請求を行ってもなかなか入金がされないような債権というものです。
(2)流動資産と固定資産の区分法
次に、貸借対照表の流動資産と固定資産の区分法について記載します。
まず、流動資産と固定資産の区分は「正常営業循環基準」によります。
次に、正常営業循環基準で区分できないものについては「1年基準」によります。
正常営業循環基準とは、文字通り、正常な営業サイクル(例:販売業でいえば、仕入→販売→入金)に属する資産及び負債は流動項目とし、それ以外は固定項目とするというものです。
一方、1年基準は、正常営業循環基準に該当しない科目について、決算日後1年以内に回収や支払が行われる資産及び負債を流動項目、1年を超える資産及び負債については固定項目とするものです。
この流動・固定分類については結構誤解されがちですが、まず第1次的には「正常営業循環基準」が適用されます。1年基準で区分するようなイメージを持たれている方も多いのですが、1年基準はあくまで2次的な区分法です。
正常営業循環基準によれば、1年で投資の回収ができないものも流動資産に計上されることがあります。例えば、長期請負工事における完成工事未収入金です。工事期間が1年を超える長期工事においては、請負工事に対する債権の回収も1年を超えてきます。しかしながら、この債権は長期工事という正常な営業サイクルに属するものなので、流動資産に計上されます。
(3)破産更生債権等が固定資産に区分される理由
そのため、 経営状態に重大な問題が生じていない債務者に対する債権である一般債権は当然のことながら流動資産に計上されます。正常な営業サイクルに属する債権だからです。
では、破産更生債権等が固定資産に区分される理由ですが、これは破産更生債権等は、経営破綻又は実質的に経営破綻に陥っている債務者に対する債権であることから、正常な営業サイクルから外れた債権であるためです。経営破綻に陥った場合、会社に対する売上債権については、こちらが請求を行っても支払ってはくれません。例えば、債権者集会を経た後、清算配当が払われる形となります。配当があればまだよいかもしれません。少なくとも全額の回収はまず無理です。すなわち、正常な営業サイクルからは外れてしまっています。
そのため正常営業循環基準により、固定資産に区分されるとされているものと解されます。
4.貸倒懸念債権の表示
これらを鑑みると、貸倒懸念債権は「経営破綻の状態には至っていないが、債務の弁済に重大な問題が生じているか又は生じる可能性の高い債務者に対する債権」であるため、貸倒懸念債権の状態では、まだ正常な営業サイクルに属している債権といえます。
このような入金が滞っている場合は、通常は取引は停止しますが、請求は続けていきます。その請求により、金額や入金時期は不規則ですが、少しづつ入金はされていくケースもあります。そのため、投資の回収を行っている状況にあることから、依然として正常な営業サイクルに属する債権といえます。
なお、参考ですが、「金融商品会計に関する実務指針」112項では、貸倒懸念債権の要件について具体的に記載しています。
「債務の弁済に重大な問題が生じているとは、現に債務の弁済がおおむね1年以上延滞している場合のほか、弁済期間の延長又は弁済の一時棚上げ及び元金又は利息の一部を免除するなど債務者に対し弁済条件の大幅な緩和を行っている場合が含まれる。」
「債務の弁済に重大な問題が生じる可能性が高いとは、業況が低調ないし不安定、又は財務内容に問題があり、過去の経営成績又は経営改善計画の実現可能性を考慮しても債務の一部を条件どおりに弁済できない可能性の高いことをいう。」
「財務内容に問題があるとは、現に債務超過である場合のみならず、債務者が有する債権の回収可能性や資産の含み損を考慮すると実質的に債務超過の状態に陥っている状況を含む。 」
従って、回収ペースは落ちているものの、債権の回収段階にある貸倒懸念債権は正常な営業サイクルに属しているといえますので、正常営業循環基準により流動資産に区分することが妥当といえます。
2019年3月11日月曜日
アメリカのキャッシュレス~クレジットカード社会
1.はじめに
私は、前職では日本企業の米国子会社の監査のため、毎年アメリカ合衆国に行っていました。春と秋、それと年末の実査立会の年3回が基本でしたが、年によってはもう1回加わり、年4回という時もありました。
最後に行ったのが平成23年でしたので、もう8年前になります。昨年、日本公認会計士協会京滋会の研修旅行でサンフランシスコなどを訪れましたが、これは7年ぶりのアメリカ訪問となりました。
仕事で行く場合は、何度もアメリカに行くことになりますし、食事で入る店も一般庶民が利用する店に入ることが多いため、1回きりの旅行とは異なり、結構、市民の生活を体感できたのではないかと思います。
今回は、アメリカに行っていたときに感じた、アメリカのクレジットカード払いについて記載したいと思います。
2.ひと昔前のアメリカ
上述のように、最後に仕事でアメリカにいったのが8年前なので、アメリカに行っていたのは今から8~12年前の頃となります。
アメリカはクレジット社会とは聞いていましたが、確かにこの時代でも、ほとんどの店でクレジットカードを使用することができました。
どの店でもクレジットカードを使用できるのはとても便利です。メリットはいろいろとありますが、私の場合はアメリカの小銭がたまらないようにするために使用していました。
ご存知の方も多いと思いますが、ドル紙幣は日本で日本円に換金できるのに対して、小銭は換金できません。そうなると、溜まったアメリカの小銭は日本で無用の長物と化してしまうのです。そのようなことを避けるため、私はアメリカではクレジットカードを使用していました。
近年、日本でもキャッシュレス社会を目指して、いろいろな施策が講じられてきていますが、アメリカではひと昔前でも、すでにキャッシュレス社会が進んでいました。
日本でもこのようになればよいのに、と思っていたのですが、最近の動きを見るにつれ「やっとか」という思いです。
3.アメリカでクレジットカードを使えた店など
ここでは、当時からクレジットカードを使用できたアメリカの店などを紹介します。
(1)スターバックス
当時のアメリカでも、スターバックスでクレジットカードを使用できました。
調べると、最近、日本のスターバックスでもクレジットカードを使用できるようになったようです。
昔、スターバックスはアメリカの会社なので「もしかしたら日本でも使用できるのでは」と思い、クレジットカード払いができるのかを聞いたことがありましたが、当時はプリペイドのスターバックスカードであれば現金以外の支払いができます、という説明でした。私の記憶では3年前ぐらいでもそのような説明だったと記憶しています。
(2)マクドナルド
マクドナルドでもクレジットカードを使用できました。
最近、日本のマクドナルドもクレジットカードを使用できるようになったようです。
ちなみに、アメリカのマクドナルドは、セット購入すると、日本でいうドリンクバーがついてきて、ドリンクは何度でも何種類でも飲めるというシステムでした。
(3)サブウェイ
サンドウィッチのサブウェイもクレジットカードを使用できました。
日本ではなかなか人気が出ませんが、サブウェイは自分でいろいろな具材を自分でトッピングできるサンドウィッチ店です。
余談ですが、あるフリーウェイ沿いのサブウェイで代金を支払おうとしたところ、"Show me ID!"(身分証明書を見せてください)と言われたことがあります。何で言われたのかは不明なのですが、カードを使用するときにこのようなこともありました。(アジア人は年齢より若く見られる傾向にはありますが・・・)
(4)空港の売店
サンフランシスコ国際空港(SFO)など、いろいろな空港に行きましたが、どの空港の売店でもクレジットカードを使用できました。
例えば、ペットボトルの水一本を購入する場合でもクレジットカードでOKです。
日本でいうと、キオスクみたいな感じの店です。もちろん、お土産屋さんやDuty FreeでもクレジットカードはOKです。
ちなみに、京都の竹田駅(近鉄と京都市営地下鉄の共同駅)のプラットフォームにあるキオスクで電子マネーを使用しようとしたら「現金しか使えません。」と言われました。あるコンビニチェーンの店だったので余計に「なぜ?」と思いました。
(5)券売機
BART(Bay Area Rapid Transit:サンフランシスコの地下鉄)で、サンフランシスコ国際空港(SFO)からパウエルストリート(Powell St.)まで乗車したことがありましたが、きっぷを購入するための自動券売機でもクレジットカードを使用できました。
なんだか古めかしい券売機だったので「こんなので大丈夫なのか」と不安に思ったことを記憶しています。
このBARTの券売機でのきっぷの買い方ですが、日本とは異なり、一定額から引き算ボタンを押して減額して目的地までの金額を設定し、購入するという方法です。日本のように、いろいろな金額が選べるようにはなっていません。従って、とても使いにくいです。
その点、日本は交通系ICカードと自動改札機が発達しているので、鉄道分野においては日本のほうが利便性とキャッシュレスがはるかに進んでいます。
こういうのを体験するたびに、アメリカは発展しているのか発展していないのかよくわからない国だな、と思いました。
(6)自動販売機は?
最後に、当時は自動販売機ではさすがにクレジットカード払いはできませんでしたが、最近はついに自動販売機でもクレジットカードを使用できるようになったようです。
ちなみに、アメリカでよく見た自動販売機は、青い色のペプシの飲料販売機です。日本ではコカ・コーラの赤い色の自動販売機が圧倒的に多いですが、アメリカではペプシコーラの自動販売機しか見かけませんでした。
また、アメリカは犯罪率が非常に高いため、自動販売機は屋外では見かけません。私が見たのはいずれも室内でした。クライアントの社内の休憩室やホテルのVending Machine コーナーといったところです。外に置くと自動販売機は破壊されて中の現金が盗まれてしまうからです。
4.まとめ
日本は、キャッシュレスが遅れているというよりは、安全社会であったためその必要性が少なかったという事情があります。そのため日本ではキャッシュレスが普及していませんが、アメリカのように数百円といった少額であっても、カードなどでキャッシュレス決済できると、とても便利な社会になると思います。
約10年経って、やっとキャッシュレスが普及してきたか、という思いですが、日本の場合は一度進むと進化するのは早いので、いろいろなサービスを期待したいところです。
私は、前職では日本企業の米国子会社の監査のため、毎年アメリカ合衆国に行っていました。春と秋、それと年末の実査立会の年3回が基本でしたが、年によってはもう1回加わり、年4回という時もありました。
最後に行ったのが平成23年でしたので、もう8年前になります。昨年、日本公認会計士協会京滋会の研修旅行でサンフランシスコなどを訪れましたが、これは7年ぶりのアメリカ訪問となりました。
仕事で行く場合は、何度もアメリカに行くことになりますし、食事で入る店も一般庶民が利用する店に入ることが多いため、1回きりの旅行とは異なり、結構、市民の生活を体感できたのではないかと思います。
今回は、アメリカに行っていたときに感じた、アメリカのクレジットカード払いについて記載したいと思います。
2.ひと昔前のアメリカ
上述のように、最後に仕事でアメリカにいったのが8年前なので、アメリカに行っていたのは今から8~12年前の頃となります。
アメリカはクレジット社会とは聞いていましたが、確かにこの時代でも、ほとんどの店でクレジットカードを使用することができました。
どの店でもクレジットカードを使用できるのはとても便利です。メリットはいろいろとありますが、私の場合はアメリカの小銭がたまらないようにするために使用していました。
ご存知の方も多いと思いますが、ドル紙幣は日本で日本円に換金できるのに対して、小銭は換金できません。そうなると、溜まったアメリカの小銭は日本で無用の長物と化してしまうのです。そのようなことを避けるため、私はアメリカではクレジットカードを使用していました。
近年、日本でもキャッシュレス社会を目指して、いろいろな施策が講じられてきていますが、アメリカではひと昔前でも、すでにキャッシュレス社会が進んでいました。
日本でもこのようになればよいのに、と思っていたのですが、最近の動きを見るにつれ「やっとか」という思いです。
3.アメリカでクレジットカードを使えた店など
ここでは、当時からクレジットカードを使用できたアメリカの店などを紹介します。
(1)スターバックス
当時のアメリカでも、スターバックスでクレジットカードを使用できました。
調べると、最近、日本のスターバックスでもクレジットカードを使用できるようになったようです。
昔、スターバックスはアメリカの会社なので「もしかしたら日本でも使用できるのでは」と思い、クレジットカード払いができるのかを聞いたことがありましたが、当時はプリペイドのスターバックスカードであれば現金以外の支払いができます、という説明でした。私の記憶では3年前ぐらいでもそのような説明だったと記憶しています。
(2)マクドナルド
マクドナルドでもクレジットカードを使用できました。
最近、日本のマクドナルドもクレジットカードを使用できるようになったようです。
ちなみに、アメリカのマクドナルドは、セット購入すると、日本でいうドリンクバーがついてきて、ドリンクは何度でも何種類でも飲めるというシステムでした。
(3)サブウェイ
サンドウィッチのサブウェイもクレジットカードを使用できました。
日本ではなかなか人気が出ませんが、サブウェイは自分でいろいろな具材を自分でトッピングできるサンドウィッチ店です。
余談ですが、あるフリーウェイ沿いのサブウェイで代金を支払おうとしたところ、"Show me ID!"(身分証明書を見せてください)と言われたことがあります。何で言われたのかは不明なのですが、カードを使用するときにこのようなこともありました。(アジア人は年齢より若く見られる傾向にはありますが・・・)
(4)空港の売店
サンフランシスコ国際空港(SFO)など、いろいろな空港に行きましたが、どの空港の売店でもクレジットカードを使用できました。
例えば、ペットボトルの水一本を購入する場合でもクレジットカードでOKです。
日本でいうと、キオスクみたいな感じの店です。もちろん、お土産屋さんやDuty FreeでもクレジットカードはOKです。
ちなみに、京都の竹田駅(近鉄と京都市営地下鉄の共同駅)のプラットフォームにあるキオスクで電子マネーを使用しようとしたら「現金しか使えません。」と言われました。あるコンビニチェーンの店だったので余計に「なぜ?」と思いました。
(5)券売機
BART(Bay Area Rapid Transit:サンフランシスコの地下鉄)で、サンフランシスコ国際空港(SFO)からパウエルストリート(Powell St.)まで乗車したことがありましたが、きっぷを購入するための自動券売機でもクレジットカードを使用できました。
なんだか古めかしい券売機だったので「こんなので大丈夫なのか」と不安に思ったことを記憶しています。
このBARTの券売機でのきっぷの買い方ですが、日本とは異なり、一定額から引き算ボタンを押して減額して目的地までの金額を設定し、購入するという方法です。日本のように、いろいろな金額が選べるようにはなっていません。従って、とても使いにくいです。
その点、日本は交通系ICカードと自動改札機が発達しているので、鉄道分野においては日本のほうが利便性とキャッシュレスがはるかに進んでいます。
こういうのを体験するたびに、アメリカは発展しているのか発展していないのかよくわからない国だな、と思いました。
(6)自動販売機は?
最後に、当時は自動販売機ではさすがにクレジットカード払いはできませんでしたが、最近はついに自動販売機でもクレジットカードを使用できるようになったようです。
ちなみに、アメリカでよく見た自動販売機は、青い色のペプシの飲料販売機です。日本ではコカ・コーラの赤い色の自動販売機が圧倒的に多いですが、アメリカではペプシコーラの自動販売機しか見かけませんでした。
また、アメリカは犯罪率が非常に高いため、自動販売機は屋外では見かけません。私が見たのはいずれも室内でした。クライアントの社内の休憩室やホテルのVending Machine コーナーといったところです。外に置くと自動販売機は破壊されて中の現金が盗まれてしまうからです。
4.まとめ
日本は、キャッシュレスが遅れているというよりは、安全社会であったためその必要性が少なかったという事情があります。そのため日本ではキャッシュレスが普及していませんが、アメリカのように数百円といった少額であっても、カードなどでキャッシュレス決済できると、とても便利な社会になると思います。
約10年経って、やっとキャッシュレスが普及してきたか、という思いですが、日本の場合は一度進むと進化するのは早いので、いろいろなサービスを期待したいところです。
2019年3月3日日曜日
キャッシュレスが及ぼす経営への効果
1.ロイヤルホールディングスによる完全キャッシュレス店
TBS系列の放送局では毎週日曜日午前7時30分から「がっちりマンデー」という番組が放送されています。平成31年2月24日(日)の放送では「視察が殺到する会社!」というタイトルで、多数の同業他社などが視察に訪れる会社を特集していました。
その中で、東京の馬喰町(ばくろちょう)にある「ギャザリングテーブルパントリー」というお店が紹介されていました。恥ずかしなら、私も今になって初めて知ったのですが、このお店は、ロイヤルホールディングスが行った実験店舗で、完全キャッシュレス化を行ったお店ということです。
さらに、この馬喰町のお店は完全キャッシュレスのためレジや金庫がないことに加え、ガス台もないお店であるため、どのような運営を行っているのかということで、同業他社が視察に訪れているのだそうです。
余談ですが、私が知っている馬喰町は繊維問屋の町で、夜になると人通りが全くなくなり、車しか通っていない寂しい町という印象がありますが、最近はお洒落な店も開店しているようで昔とは変わってきているようです。
2.キャッシュレスが及ぼす効果
(1)レジ締めの時間が大幅に短縮
番組では、キャッシュレスがどのような効果をもたらしたのかという点を紹介していましたが、番組を見て「なるほど」と思いました。
キャッシュレス化となると、普通は、(イ)客が現金を支払わなくてよいので、多額の現金を持ち歩かなくてもよい、(ロ)小銭が増えない、(ハ)財布からお金を出す手間が省けるので支払いが早くなる、といった「客視点」のメリットしか思い浮かばないのではないかと思います。
しかしながら、このギャザリングテーブルパントリーでは、完全キャッシュレス化により、店長はじめ全従業員の労働時間が大幅に減少したそうです。
なぜかというと、現金がまったくないため、いわゆる「レジ締め」が一瞬で終わるからです。現金を取り扱う店舗だと、閉店後にレジデータを集計し、レジ内の現金を数えて、レジデータに基いた残額と一致しているかどうか、といった作業を行いますが、このレジ締めには時間がかかります。このとき、現金残高がデータと一致していないと、その原因を探らないといけなくなり、さらに時間がかかります。
しかし、完全キャッシュレスの店舗では、この作業が不要となるため、レジ締めにかかる時間がほとんどなくなりました。そのため、閉店後の労働時間の大幅な削減となったということです。
ちなみに、学生時代、あるコンビニエンスストアでアルバイトをしていた友人によると、そのコンビニエンスストアでは、実際在高が過大の場合、その過大分は店舗のものとなるのに対して、過少の場合はレジを担当していた店員が補填しないといけなかったそうです。
(2)釣り銭の準備、現金の持ち運び作業の消滅
また、完全キャッシュレス化となれば、当然のことながら釣り銭はいりません。従って、金融機関から釣り銭用の現金を持ってくる必要はありません。
さらに、現金の場合、売上金は金融機関に入金するために金融機関まで持ち運びしなければなりませんが、この作業も不要になります。
このような作業がなくなることで労働時間の短縮につながります。
(3)スペースの確保
番組では完全キャッシュレス化により、レジや金庫を置く必要がなくなったので、スペースの確保につながった、と紹介していました。
確かに、レジのスペースは結構取りますし、金庫も数百キロの大金庫を置くのが通常なので、こちらもスペースをとります。
レジのスペースがなくなれば、その分、テーブルと椅子を増加できますので稼働率が上がれば売上の増加につながります。
なお、支払いは、電子マネーやクレジットカードの場合、店員がテーブルまでやって来てそこで支払いを行うようです。
(4)注文はセルフサービス
ギャザリングテーブルパントリーでは、客からのオーダーも各テーブルに置いてあるタブレットを使用してセルフサービスで注文します。
ちなみに、このタブレットを使ったセルフオーダー方式は、ギャザリングテーブルパントリーだけではなく、例えば大戸屋でも導入されています。
この方式であれば、店員がテーブルに行って注文を聞いて厨房に伝えるという作業がなくなります。このような作業は一日何回も行うので、これがなくなれば、他の作業に時間を回せますし、人手不足の中、少ない人数でも店をまわすことが可能となります。
さらに、平成30年7月にはLINE Payを使った「セルフテーブル決済」を導入したということです。これは「注文用タブレット端末において、お支払い方法にLINE Payを選択すれば、お客様ご自身のスマートフォンひとつでスムーズに支払いを完了することができる」(ロイヤルホールディングスのHPより)という仕組みということです。
上記のように、電子マネーやクレジットカードの場合は、店員がテーブルまで行く必要がありますが、セルフテーブル決済の場合は、それも不要ということになります。
なお、最近では、平成31年2月1日にQRコードで決済できる「Alipay」と「WeChat Pay」が、12日には 「PayPay」が導入されました。これらもセルフテーブル決済に使用できます。
3.まとめ
キャッシュレス化は、顧客にとってのメリットもありますが、労働者にとって労働時間の削減といった大きなメリットがあることがわかりました。また、いろいろとウェブサイトを見てみると、労働者にとっては労働時間の削減のみならず、現金を扱うことへのプレッシャーからの開放といった精神面の安定といったメリットもあるということです。
また、人手不足が叫ばれる中、これまでよりも少ない人員で運営できるというメリットもあります。
こういったメリットは、現在問題となっている「働き方改革」への一つの対応策となります。
このギャザリングテーブルパントリーは実験店ということですが、こういった効果が明らかになったため、多数の同業他社が見学に来て、その効果を自社にももたらそうと考えているのだと思います。
キャッシュレスの促進化は最近始まったばかりですが、外食産業を始め、小売店にとっては、働き方改革のための大きなツールとなるため、働き方改革とリンクして、今後短期間で一気に普及するものと予測します。
TBS系列の放送局では毎週日曜日午前7時30分から「がっちりマンデー」という番組が放送されています。平成31年2月24日(日)の放送では「視察が殺到する会社!」というタイトルで、多数の同業他社などが視察に訪れる会社を特集していました。
その中で、東京の馬喰町(ばくろちょう)にある「ギャザリングテーブルパントリー」というお店が紹介されていました。恥ずかしなら、私も今になって初めて知ったのですが、このお店は、ロイヤルホールディングスが行った実験店舗で、完全キャッシュレス化を行ったお店ということです。
さらに、この馬喰町のお店は完全キャッシュレスのためレジや金庫がないことに加え、ガス台もないお店であるため、どのような運営を行っているのかということで、同業他社が視察に訪れているのだそうです。
余談ですが、私が知っている馬喰町は繊維問屋の町で、夜になると人通りが全くなくなり、車しか通っていない寂しい町という印象がありますが、最近はお洒落な店も開店しているようで昔とは変わってきているようです。
2.キャッシュレスが及ぼす効果
(1)レジ締めの時間が大幅に短縮
番組では、キャッシュレスがどのような効果をもたらしたのかという点を紹介していましたが、番組を見て「なるほど」と思いました。
キャッシュレス化となると、普通は、(イ)客が現金を支払わなくてよいので、多額の現金を持ち歩かなくてもよい、(ロ)小銭が増えない、(ハ)財布からお金を出す手間が省けるので支払いが早くなる、といった「客視点」のメリットしか思い浮かばないのではないかと思います。
しかしながら、このギャザリングテーブルパントリーでは、完全キャッシュレス化により、店長はじめ全従業員の労働時間が大幅に減少したそうです。
なぜかというと、現金がまったくないため、いわゆる「レジ締め」が一瞬で終わるからです。現金を取り扱う店舗だと、閉店後にレジデータを集計し、レジ内の現金を数えて、レジデータに基いた残額と一致しているかどうか、といった作業を行いますが、このレジ締めには時間がかかります。このとき、現金残高がデータと一致していないと、その原因を探らないといけなくなり、さらに時間がかかります。
しかし、完全キャッシュレスの店舗では、この作業が不要となるため、レジ締めにかかる時間がほとんどなくなりました。そのため、閉店後の労働時間の大幅な削減となったということです。
ちなみに、学生時代、あるコンビニエンスストアでアルバイトをしていた友人によると、そのコンビニエンスストアでは、実際在高が過大の場合、その過大分は店舗のものとなるのに対して、過少の場合はレジを担当していた店員が補填しないといけなかったそうです。
(2)釣り銭の準備、現金の持ち運び作業の消滅
また、完全キャッシュレス化となれば、当然のことながら釣り銭はいりません。従って、金融機関から釣り銭用の現金を持ってくる必要はありません。
さらに、現金の場合、売上金は金融機関に入金するために金融機関まで持ち運びしなければなりませんが、この作業も不要になります。
このような作業がなくなることで労働時間の短縮につながります。
(3)スペースの確保
番組では完全キャッシュレス化により、レジや金庫を置く必要がなくなったので、スペースの確保につながった、と紹介していました。
確かに、レジのスペースは結構取りますし、金庫も数百キロの大金庫を置くのが通常なので、こちらもスペースをとります。
レジのスペースがなくなれば、その分、テーブルと椅子を増加できますので稼働率が上がれば売上の増加につながります。
なお、支払いは、電子マネーやクレジットカードの場合、店員がテーブルまでやって来てそこで支払いを行うようです。
(4)注文はセルフサービス
ギャザリングテーブルパントリーでは、客からのオーダーも各テーブルに置いてあるタブレットを使用してセルフサービスで注文します。
ちなみに、このタブレットを使ったセルフオーダー方式は、ギャザリングテーブルパントリーだけではなく、例えば大戸屋でも導入されています。
この方式であれば、店員がテーブルに行って注文を聞いて厨房に伝えるという作業がなくなります。このような作業は一日何回も行うので、これがなくなれば、他の作業に時間を回せますし、人手不足の中、少ない人数でも店をまわすことが可能となります。
さらに、平成30年7月にはLINE Payを使った「セルフテーブル決済」を導入したということです。これは「注文用タブレット端末において、お支払い方法にLINE Payを選択すれば、お客様ご自身のスマートフォンひとつでスムーズに支払いを完了することができる」(ロイヤルホールディングスのHPより)という仕組みということです。
上記のように、電子マネーやクレジットカードの場合は、店員がテーブルまで行く必要がありますが、セルフテーブル決済の場合は、それも不要ということになります。
なお、最近では、平成31年2月1日にQRコードで決済できる「Alipay」と「WeChat Pay」が、12日には 「PayPay」が導入されました。これらもセルフテーブル決済に使用できます。
3.まとめ
キャッシュレス化は、顧客にとってのメリットもありますが、労働者にとって労働時間の削減といった大きなメリットがあることがわかりました。また、いろいろとウェブサイトを見てみると、労働者にとっては労働時間の削減のみならず、現金を扱うことへのプレッシャーからの開放といった精神面の安定といったメリットもあるということです。
また、人手不足が叫ばれる中、これまでよりも少ない人員で運営できるというメリットもあります。
こういったメリットは、現在問題となっている「働き方改革」への一つの対応策となります。
このギャザリングテーブルパントリーは実験店ということですが、こういった効果が明らかになったため、多数の同業他社が見学に来て、その効果を自社にももたらそうと考えているのだと思います。
キャッシュレスの促進化は最近始まったばかりですが、外食産業を始め、小売店にとっては、働き方改革のための大きなツールとなるため、働き方改革とリンクして、今後短期間で一気に普及するものと予測します。
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