2019年1月13日日曜日

理事、監事の改選期における注意点~社会福祉法人

1.はじめに
 社会福祉法人では平成29年度から新制度が始まりました。そのため、平成31年度は理事、監事の改選期にあたります。
 そこで、理事、監事の改選期において、注意する点をあげたいと思います。

2.任期の確認
 役員の任期は「選任後二年以内に終了する会計年度のうち最終のものに関する定時評議員会の終結の時までとする。ただし、定款によつて、その任期を短縮することを妨げない。」(社会福祉法(「以下」法)45条)とされています。
 ほとんどの理事、監事は平成29年6月に選任されたと思われますので、その理事、監事は(元号は変わりますが)平成31年度が改選期になります。

 注意すべきは、この間に理事、監事の交代があった場合です。
 「役員の任期の計算方法~公益法人・社会福祉法人」の再掲になりますが、例えば、平成30年3月に理事に選任された場合、平成31年度の定時評議員会の終結の時までが任期となりますので注意する必要があります。多くの社会福祉法人は6月に定時評議員会を開催するので、この場合だと、平成30年3月に選任された理事は平成31年(2019年)6月までが任期となります。期間は約1年3ヶ月となります。旧制度と異なり、丸々2年間ではなくなったので、注意が必要です。



3.監事の選任
 「監事選任における留意点~公益法人及び一般社団法人等、社会福祉法人」でも記載さいましたが、評議員会を開催するときに監事の選任に関する議案を評議員会に提出するには、監事(監事が二人以上ある場合にあっては、その過半数)の同意を得なければなりません(一般社団法人及び一般財団法人に関する法律(以下「一般法」)72条①、法43条③)。
 この趣旨は監事の地位の安定性を保つためですが、その手段として監事の同意書を書面でもらっておく必要があります。(就任承諾書とは異なります。)。

 再掲となりますが、埼玉県久喜市の公式ホームページ内の「社会福祉法人の運営について」という社会福祉法人向けのページに、Word版で監事の同意書のひな形が掲載されています。

4.就任承諾書
 今回、改選によって改めて選任されるので、就任承諾書も必要です。前回、記載したから今回は不要ということにはなりませんので注意が必要です。
 就任承諾書については、前回のものを使用すればよいですが、兵庫県の「社会福祉法人制度改革に関する資料について」にも掲載されていますので、ご紹介しておきます。
 
 その他、欠格事由などについても確認をしておく必要があります。

5.理事長の選定
 定時評議員会により、理事が選任されたら、その後に理事会を開催して理事長を選定する必要があります(法45条の13③)。
 理事長は理事であることが前提ですから、理事の任期が終了した時点で理事長の地位も消滅しています。従って、改選期においては改めて理事会で理事長を選定する必要がありますので失念しないようにする必要があります。
 
 なお、理事長選定のための理事会は、定時評議員会の直後に開催しても構いません。むしろ、日を空けてしまうとその間、理事長不在ということになってしまい、機関運営上好ましくありません。

 なお、この場合の開催方法ですが、「新理事による理事会の招集方法」にも記載したように、招集手続の省略によって開催すればよいでしょう(法45条の14⑨、一般法94条②)。
 招集手続の省略とは、理事及び監事の全員の同意があるときは、招集の手続を経ることなく開催することができるというものですが、全員の同意は、書面でなくても問題はありません。口頭でも可能です。

 その他の方法では、同じく「新理事による理事会の招集方法」にも記載したように、決議の省略による方法でも構いません。