1.行政庁の人事異動
すでに3月になりましたが、行政庁では3月末になると人事異動が発令され、公益法人(公益認定を受けた一般社団法人及び一般財団法人)に異動となる方もいらっしゃると思います。
しかしながら、公益法人は、特に会計面での仕組がわかりにくいので、慣れるのに時間がかかることが多いようです。
そこで、少し早いですが、公益法人の特徴を簡単に記載します。
2.財務三基準
(1)財務三基準とは
公益法人の最も大きな特徴は、いわゆる「財務三基準」です。
すなわち、(イ)収支相償(しゅうしそうしょう)、(ロ)公益目的事業比率、(ハ)遊休財産、の3つについて一定の基準をクリアしなければならないというものです。
これらは、財務会計の数字をベースに計算します。「ベースに」というのは、財務会計の中では財務三基準の計算はできないということです。言い換えると、財務会計とは別の世界で計算するということです。
(2)別表との対応関係
これを具体的にいうと、公益法人は毎事業年度の経過後3ヶ月以内に事業報告等に係る提出書類を行政庁に提出しなければならないのですが(公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律(以下「認定法」)22条①)、この中に別紙4という書類があり、さらにその中に別表AからHまでの書類があります。この別表A~Cにおいて、財務三基準を計算します。
財務三基準と別表の対応関係は次のとおりです。
収支相償の計算→別表A
公益目的事業比率→別表B
遊休財産の計算→別表C
(3)財務三基準の意義
以下では、財務三基準のそれぞれについて簡単に記載します。
(イ)収支相償
公益法人は「その公益目的事業を行うに当たり、当該公益目的事業の実施に要する適正な費用を償う額を超える収入を得てはならない。」とされています(認定法14条)。
簡単に言うと、公益目的事業では赤字にしなければならないということです。
「会計上、公益目的事業会計で赤字にすればよいのだから簡単ではないか」と思われるかもしれませんが、計算が複雑な面もあり、なかなかややこしい面があります。
実は、この話をすると長くなるので、今回はここまでにいたします。
(ロ)公益目的事業比率
公益法人は「毎事業年度における公益目的事業比率が百分の五十以上となるように公益目的事業を行わなければならない。」とされています(認定法15条)。
公益法人であるにも関わらず、収益事業の比重が高いとなってしまうと、その目的が達成されません。そのため、簡単に言うと、公益実施費用額が公益実施費用額、収益等実施費用額及び管理運営費用額の合計の50%を超えるようにしなければならないというものです。こちらの「費用」も会計上の費用と必ずしも一致はしないので注意が必要です。
(ハ)遊休財産
「公益法人の毎事業年度の末日における遊休財産額は、公益法人が当該事業年度に行った公益目的事業と同一の内容及び規模の公益目的事業を翌事業年度においても引き続き行うために必要な額として、当該事業年度における公益目的事業の実施に要した費用の額を基礎として内閣府令で定めるところにより算定した額を超えてはならない」とされています(認定法16条)。
この趣旨は、公益法人は遊休財産、すなわち、自由に使える財産をため込んではならないというものです。保有している財産は、極力、公益目的事業、収益事業等、管理運営目的のために使用してください、ということです。
3.最後に
今回は、財務三基準について非常に簡単に記載いたしました。
2回目は、機関運営について記載したいと思います。
【参考】
大阪府から「財務三基準等計算確認シート」が公表されています。
2018年3月11日日曜日
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