1.はじめに
いま、NHKの朝の連続テレビ小説では「まんぷく」が放映されています。
「まんぷく」は日本のイノベーションの一つでもある「インスタントラーメン」が生まれた物語を描いています。
この「インスタントラーメン」とは安藤百福氏が発明した「チキンラーメン」です。
「まんぷく」でも描かれていますが、研究室という名の小屋で、小麦粉に味付けや添加物を入れて麺にし、お湯でもどすという実験を試行錯誤しながら何度も繰り返します。ついに、ある日、天ぷらをヒントに、麺を油であげるという製法を開発します。これにより、油であげた麺にお湯をかければ2分で食べることができるという世界初のインスタントラーメンが生まれました。
上記のように、このインスタントラーメンは日本が誇るイノベーションの一つです。
2.日本のイノベーションは少ないのか
今日のタイトルは「日本発のイノベーションがなかなか出てこない理由」としましたが、では、日本からはイノベーションが本当に少ないのかというと、必ずしもそんなことはないと思います。
昨年9月に日本公認会計士協会京滋会の研修旅行で、イノベーションを生み出す思考法の一つと言われるデザインシンキング(Design Thinking)の体験学習のため、アメリカ・カリフォルニア州のMenlo Collegeを訪れましたが、このとき担当されたBruce Paton教授は「日本はイノベーションがなかなか出てこないというが、かつて日本ではいろいろなイノベーションがあり、アメリカ人も日本のイノベーションを学んでいた。」という説明がありました。
ちなみに、そのときに配られたレジュメでは、「ウォークマン」「新幹線」「マリオブラザーズ」「ピカチュウ」の写真が掲載されていました。
実際に、かつての日本には日本発のイノベーションによる製品はいろいろなものがありました。
自動改札機もそうですし、LEDもそうです。
とはいえ、日本で開発されたものもガラパゴス化して世界には普及しないなど、世界に普及したイノベーションがあまり多くないのは事実かもしれません。
3.権威主義がイノベーションを阻害する
LEDは東北大学名誉教授の故西澤潤一教授が開発したものですが、西澤教授は、その他にもPINダイオードや光ファイバーなど数々の発明を行います。
しかしながら、その人生は苦闘の連続だったといいます。
なぜかというと、西澤教授が発明した独創的な技術が日本ではなかなか認められなかったからです。
PINダイオードを発明し、学会で発表したとき学会は「米国の誰も、そんなことはいっていないのだから、お前のいうようなことはあるはずはない。実験が間違っているのだろう」(「異才時代」竹村健一著(学研)P136より)という冷たい反応だったそうです。
しかし、その後、アメリカで西澤教授と同じ内容の論文が次々と発表されると、あわてて日本のメーカーが米国のメーカーの特許を導入しようとしたそうです。
この竹村健一氏の本では「こうしたいきさつは日本人がいかに「権威」に弱く、創造力を認めていく風土に欠けているかをよく示している。」と記載されていますが、確かに理科系の分野ではヒエラルキーが存在していて、下位の者が上位の者を追い抜こうとすることを認めない傾向があります。
また、西澤教授がある実験で定説と異なる結果が得られたとき、所員に新しい理論としてまとめるよう指示したとき、その所員は「本にはこのように書いてあります。だから、この実験は間違いではないか」(同著P138より)と言ったそうです。
これも権威主義の弊害といえます。「本に書いてあるから」としてしまっては、それ以上の発展は望めません。本の内容を信じてしまっていることが問題と言えます。もしかしたら本の内容が間違っているかもしれません。本に書かれたことはあくまで過去の情報です。過去情報なのですから、それに依存してしまっては未来情報は開拓できないといえるでしょう。
この点で、デザインシンキングではニーズを探るとき、アンケートやインタビューは行わないそうです。なぜかというと、アンケートやインタビューから得られた回答は「常識的」な回答しか得られないからです。つまり大多数の人間が考えていることは過去情報といえます。過去情報から全く新しい未来情報は生まれにくいのです。
そこで、デザインシンキングでは「観察」を重視します。人間の行動を観察して潜在的ニーズを発見するというわけです。なぜかというと、人間の行動が人間の欲求を表しているからです。
このように、イノベーションを起こすには、権威主義からの脱却がひとつのカギになると思います。
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