1.概要
4月も半ばになりましたが、決算承認理事会や定時評議員会のスケジュールは既に決定されておられるかと思います。
今回は、定時評議員会の招集に関する留意点を簡潔に記載したいと思います。
なお、本稿は私見であることにご留意ください。
2.理事会の決議
社会福祉法(以下「法」)45条の9①では「定時評議員会は、毎会計年度の終了後一定の時期に招集しなければならない」とされており、社会福祉法人においても新制度開始以後6月に開催する法人が多いと思います。
この定時評議員会を招集するには、理事会で評議員会の日時及び場所、議題、議案を決議することが必要となります(法45条の9⑩、一般社団法人及び一般財団法人に関する法律(以下「一般法」)181①)。これは決議事項となりますのでご留意ください。
3.招集通知方法
評議員会を招集するには、理事は、評議員会の日の1週間(これを下回る期間を定款で定めた場合にあっては、その期間)前までに、評議員に対して、書面でその通知を発しなければなりません(法45条の9⑩、一般法182条①)。なお、一定の手続により電磁的方法により通知を発することもできます(法45条の9⑩、一般法182条②)。
口頭での招集は認められませんのでご留意ください。この点は理事会と異なります。
なお、書面で招集通知を発する法人が多いと思いますが、このときの招集通知の控えは、法人でも保存しておくことが望まれます。というのは、公益法人の立入検査のときに、本当に書面で通知を発したかどうかの確認が行われたことがあったからです。社会福祉法人の指導監査でも同様にチェックされる可能性がありますので、書面で通知を発したことを立証できるようにしておくとよいと思います。
4.計算書類等の提供
理事は、定時評議員会の招集の通知に際して、評議員に対し、理事会の承認を受けた計算書類及び事業報告並びに監査報告を提供しなければなりません(法45条の29)。
また、会計監査人設置社会福祉法人の場合は、会計監査報告も必要です(法45条の29かっこ書き)。
つまり、招集通知に計算書類等を添付し、一緒に郵送するということです。これは、評議員が評議員会で決算の承認決議を行うにあたり、事前に準備を行う機会を与える必要があるためです。
この点は、失念しやすいのでご注意ください。公益法人においても失念が多い事例として内閣府から紹介されています。
なお、この計算書類等についても、上記の通り、招集通知と一緒に提供したことを立証できるようにしておくことが望まれます。
5.修正事項が生じた場合
社会福祉法施行規則2条の38③では「理事は、計算書類又は事業報告の内容とすべき事項について、定時評議員会の招集通知を発出した日から定時評議員会の前日までの間に修正をすべき事情が生じた場合における修正後の事項を評議員に周知させる方法を当該招集通知と併せて通知することができる。」と規定されています。
すなわち、計算書類、事業報告といった書類に誤植や誤字脱字があった場合に、定時評議員会の前日までに訂正分あるいは正誤表を通知することができるというものです。
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