2018年11月18日日曜日

消費税軽減税率制度のポイント(3)

1.Q&Aの改正
 平成30年11月、国税庁は「消費税の軽減税率制度に関するQ&A(個別事例編)」に追加を行いました。
 この中で、店内飲食についてもQ&Aが追加されました。

2.休息スペースでの飲食
 休息スペースでの飲食については、「消費税軽減税率制度のポイント(2)」でも記載しましたが、産経新聞の記事の一部について疑義が生じたので、この点についても記載しました。
 以下、再掲します。

 「購入した飲食料品がトレーに載せられて座席に運ばれたり、返却が必要な食器に盛られて提供されたりすると、外食と判断される。このため、そうしたサービスはできないようにして、全ての飲食料品を持ち帰りができる状態で販売するよう徹底する。コンビニ業界は、こうした施策で、取り扱う飲食料品は持ち帰りと定義でき、客がイートインで飲食したとしても税率は8%になるとみている。

 という記載があります。
 しかし、「店内飲食禁止」としているのであれば、客がイートインで飲食することはできないはずです。見て見ぬふりをするということでしょうか。もし、そうであれば、記事にもあるように、外食業界からは強い批判が出るのは必至です。
 このあたりは、産経新聞が誰からどのような取材をしたのかが不明なのでなんとも言えませんが、いずれにしろ、抜け穴がないように調整をする必要があります。

 疑義が生じたのは、ゴシックの部分の「客がイートインで飲食したとしても税率は8%になるとみている」という点です。

 この点については、今回のQ&Aの問46の(注)で明らかになりました。
 以下、引用します。

「(注) 「飲食はお控えください」といった掲示を行っている休憩スペース等であったとしても、実態としてその休憩スペース等で顧客に飲食料品を飲食させているような場合におけるその飲食料品の提供は「食事の提供」に当たり、軽減税率の適用対象となりません。したがって、店内飲食か持ち帰りかの意思確認を行うなどの方法で、軽減税率の適用対象となるかならないかを判定していただくこととなりますのでご留意ください。」 

 従って、店内飲食を禁止している場合、飲食料品の販売は軽減税率の対象となりますが、もし休息スペースで飲食した場合は、軽減税率の対象とはならず、消費税率は10%となります。
 すなわち、産経新聞の記事のように、税率は8%とはならないので注意する必要があります。

3.意思確認の方法
 なお、この問46は「大半の商品(飲食料品)が持ち帰りであることを前提として営業しているスーパーマーケットの場合」の意思確認を想定したものであり、Qでは「全ての顧客に店内飲食か持ち帰りかを質問することを必要とするものではなく、例えば、「休憩スペースを利用して飲食する場合はお申し出ください」等の掲示を行うなど、営業の実態に応じた方法で意思確認を行うこととして差し支えありません。」としたうえで、次に「なお書き」で、店内飲食を禁止した場合も記載しています。
 以下、引用します。

 「なお、「飲食はお控えください」といった掲示を行うなどして実態として顧客に飲食させていない休憩スペース等や、従業員専用のバックヤード、トイレ、サッカー台のように顧客により飲食に用いられないことが明らかな設備については、飲食設備に該当しません。そのため、ほかに飲食設備がない場合には、持ち帰り販売のみを行うこととなりますので、意思確認は不要となります。

 これは、先日の新聞報道にあったコンビニエンスストア業界の取り組みに相当するものです。
 
 しかしながら、導入当初は相当混乱することが予想されます。
 休息スペースがあるスーパーマーケットは、飲食禁止にするほうがレジでの店員の負担を減らすことができるのではないかと思いますが、休息スペースで飲食できることで、お客さんを呼び込めるという販売上のメリットもあるので、あちらを立てればこちらが立たずといったところでしょうか。