1.概要
2月に入りましたが、社会福祉法人では決算承認のための理事会や定時評議員会のスケジュールを組まれているところもあるかと思います。法人の中にはすでにスケジュールが決定されているところもあります。
今回は、これまでのブログでも既出の論点ではありますが、決算期のスケジュールの留意点を記載いたします。
2.決算承認理事会と定時評議員会の間隔
決算承認理事会と定時評議員会の間は中2週間(14日間)以上あける必要があります。これは、計算書類等は定時評議員会の2週間前の日から5年間、主たる事務所に備え置かなければならないとされているからです(社会福祉法(以下「法」)45条の32①)。
これは、評議員が定時評議員会で計算書類等を審議するにあたって、計算書類等を事前に確認する期間を与えるためです。
そのため、中14日間以上の期間をあける必要があるのですが、これを14日後としてしまう誤りが非常に多く見られます。中14日とは決算承認理事会と定時評議員会の間が丸々14日ということです。すなわち、備置きの日の翌日から定時評議員会の日までが14日ということです。
従って、この誤りをおかさないようにするためには、+15日(以上)とおさえておくとよいと思います。
例えば、6月7日に決算承認理事会を開催する場合は、定時評議員会の日は7日+15日=22日以降となります。
なお、このことから決算承認理事会は6月15日までに開催しておく必要があります。16日以後だと6月30日を越えてしまうからです。
3.定時評議員会の招集
(1)理事会の決議
評議員会を招集するためには、評議員会の日時及び場所、目的などを理事会で決議する必要があります(法45条の9⑩、一般社団法人及び一般財団法人に関する法律(以下「一般法」181条①)。
その上で、理事が評議員会の日の一週間(これを下回る期間を定款で定めた場合にあっては、その期間)前までに、評議員に対して、書面でその通知を発しなければなりません(法45条の9⑩、一般法182条①)。
(2)計算書類等の添付
定時評議員会では、評議員会に書面で招集通知を発するとき、理事会の承認を受けた計算書類等を添付する必要があります(法45条の29)。
招集通知に計算書類等を添付していなければ、法令違反となりますので十分注意する必要があります。
4.評議員会議事録
評議員会を開催した後は、評議員会議事録を作成することになりますが、この議事録には議事録の作成に係る職務を行った者の氏名の記載が必要です(社会福祉法施行規則(以下「施行規則」)2条の15③七)。
この記載は失念しやすいので注意が必要です。よくある誤りは議事録署名人と混同してしまう誤りです。議事録署名人とは別に議事録作成者の氏名を記載する必要があります。
なお、この議事録作成者については法令上の制限はありませんので、事務職員であっても問題はありません。
もちろん、この評議員会議事録の作成者の氏名の記載は、定時評議員会、臨時評議員会のどちらの議事録でも同じです。事業計画書及び収支予算書について評議員会の決議が必要な法人は3月に臨時評議員会を開催することになりますので、この機会に記載いたします。
最後に、この論点については、拙著「「社会福祉充実計画」の作成ガイド」(中央経済社)のP115にも記載例とあわせて記載しています。
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