全ての社会福祉法人は、3月頃には事業計画及び予算を審議し、承認するための理事会が開催される予定になっていることと思います。
この理事会は例年通りではないかと思いますが、特に、理事会の開催を年2回としている社会福祉法人では、この理事会で「職務の執行状況の報告」を行っておく必要があるので留意が必要です。今回は、理事の職務の執行状況の報告について実務上の留意点を記載します。
なお、本稿は私見であることにご留意ください。
2.制度の内容
(1)報告を行う理事
この職務の執行状況の報告ですが、報告を行うのは以下の理事です(社会福祉法(以下「法」45条の16②)。
(イ)理事長
(ロ)理事長以外の理事であって、理事会の決議によって社会福祉法人の業務を執行する理事として選定されたもの(業務執行理事)
とはいえ、理事長や業務執行理事本人が発言するのが最もよいことであるのは間違いありません。
(2)報告の頻度
原則は3ヶ月に1回以上です(法45条の16③本文)。
ただし、定款で毎会計年度に4月を超える間隔で2回以上その報告をしなければならない旨を定めた場合は、年2回でも可です(法45条の16③ただし書)。この容認規定で運営されている社会福祉法人は、6月頃の決算承認理事会と3月の事業計画及び予算承認理事会で報告を行われるところが多いと思います。
なお、よく頂くご質問で「3月と6月では、4ヶ月超の間隔があいていないのではないか」というものがありますが、この間隔は事業年度でカウントしますので問題はありません。すなわち、6月から始めて4ヶ月超をカウントしますので、例えば、現在の進行年度でいえば、平成29年6月と平成30年3月は4ヶ月を超えることになります。
もちろん、6月と3月でなくとも、それ以外の月で開催した理事会で自己の職務の状況の報告を行っても問題はありません。
3.自己の職務の執行状況とは
「自己の職務の執行状況」の内容ですが、よく頂くご質問として「具体的に何を報告すればよいのかわからない。どのようなことを報告すればよいのか。」といったものがあります。回答としては、極端に言えば、理事の業務執行に関わることであれば何でもよい、ということになります。
そこで、具体例を示します。
・決算見込
・月次決算や四半期決算の状況
・事業報告
・所轄庁による指導監査の指摘事項
・各事業部門の活動報告
・重要性の高い契約の顛末
・重要性の高い行政庁への届出事項や承認事項
・過去の理事会決議事項につきその経過内容
この職務の執行状況の報告ですが、報告を行うのは以下の理事です(社会福祉法(以下「法」45条の16②)。
(イ)理事長
(ロ)理事長以外の理事であって、理事会の決議によって社会福祉法人の業務を執行する理事として選定されたもの(業務執行理事)
この報告を行う趣旨は、理事会による理事長および業務執行理事に対する職務の執行の監督を機能させるためです(法45条の13②二)。すなわち、理事会が理事長および業務執行理事の職務執行についてその適法性や妥当性を判断するためには、彼らの職務の執行状況の内容を知ることが必要であることから、彼らにその内容を報告させているということです。
なお、理事会の場で報告する人ですが、実際に実務を担当している事務局長や経理担当者といった現場の職員でないと詳細な報告が難しいケースもあると思います。このような場合は、理事長や業務執行理事が出席していることを前提として、理事長等の監督のもとで実務担当職員が報告させるという方式でも、趣旨は逸脱しないのではないかと思います(私見です)。ただし、理事長等はその内容を把握し、他の理事からの質問には回答できるようにしておく必要はあると思います。とはいえ、理事長や業務執行理事本人が発言するのが最もよいことであるのは間違いありません。
(2)報告の頻度
原則は3ヶ月に1回以上です(法45条の16③本文)。
ただし、定款で毎会計年度に4月を超える間隔で2回以上その報告をしなければならない旨を定めた場合は、年2回でも可です(法45条の16③ただし書)。この容認規定で運営されている社会福祉法人は、6月頃の決算承認理事会と3月の事業計画及び予算承認理事会で報告を行われるところが多いと思います。
なお、よく頂くご質問で「3月と6月では、4ヶ月超の間隔があいていないのではないか」というものがありますが、この間隔は事業年度でカウントしますので問題はありません。すなわち、6月から始めて4ヶ月超をカウントしますので、例えば、現在の進行年度でいえば、平成29年6月と平成30年3月は4ヶ月を超えることになります。
もちろん、6月と3月でなくとも、それ以外の月で開催した理事会で自己の職務の状況の報告を行っても問題はありません。
3.自己の職務の執行状況とは
「自己の職務の執行状況」の内容ですが、よく頂くご質問として「具体的に何を報告すればよいのかわからない。どのようなことを報告すればよいのか。」といったものがあります。回答としては、極端に言えば、理事の業務執行に関わることであれば何でもよい、ということになります。
そこで、具体例を示します。
・決算見込
・月次決算や四半期決算の状況
・事業報告
・所轄庁による指導監査の指摘事項
・各事業部門の活動報告
・重要性の高い契約の顛末
・重要性の高い行政庁への届出事項や承認事項
・過去の理事会決議事項につきその経過内容
4.議事録への記載
自己の職務の執行状況の報告が行われた場合は、議事録に記載しておく必要があります。議事録に記載しておかないと、自己の職務の執行状況の報告が行われたかどうかが不明となるからです。
この記載は法令上求められていませんが、指導監査のときにチェックされると思いますので忘れないようにする必要があります。なお、理事会議事録の法定の記載内容は社会福祉法施行規則2条の17③に記載されています。
5.職務執行状況報告書
京都市の参考様式集の中には「職務執行状況報告書」というものが入っていました。
職務執行状況報告書は法令上で作成が求められている書面ではありませんが、上記4と同様の趣旨でも受けたものと推定されます。
所轄庁のうち、このような報告書が参考様式として示されているところであれば、この報告書を作成しておくほうがよいと思います。
なお、私見ですが、この報告書を作成した場合でも自己の職務の執行状況の報告について、議事録への記載は必要といえます。議事録には、発言内容を漏れなく記載することが必要ですし、また、職務の執行状況の報告について質疑応答もありえますので、その内容も記録しておく必要があるからです。
6.決議の省略では不可
最後に、この自己の職務の執行状況の報告は、実際に開催された理事会において行う必要があります。
決議の省略による方法(いわゆる「みなし決議」)で行うことはできませんので留意する必要があります。
自己の職務の執行状況の報告が行われた場合は、議事録に記載しておく必要があります。議事録に記載しておかないと、自己の職務の執行状況の報告が行われたかどうかが不明となるからです。
この記載は法令上求められていませんが、指導監査のときにチェックされると思いますので忘れないようにする必要があります。なお、理事会議事録の法定の記載内容は社会福祉法施行規則2条の17③に記載されています。
5.職務執行状況報告書
京都市の参考様式集の中には「職務執行状況報告書」というものが入っていました。
職務執行状況報告書は法令上で作成が求められている書面ではありませんが、上記4と同様の趣旨でも受けたものと推定されます。
所轄庁のうち、このような報告書が参考様式として示されているところであれば、この報告書を作成しておくほうがよいと思います。
なお、私見ですが、この報告書を作成した場合でも自己の職務の執行状況の報告について、議事録への記載は必要といえます。議事録には、発言内容を漏れなく記載することが必要ですし、また、職務の執行状況の報告について質疑応答もありえますので、その内容も記録しておく必要があるからです。
6.決議の省略では不可
最後に、この自己の職務の執行状況の報告は、実際に開催された理事会において行う必要があります。
決議の省略による方法(いわゆる「みなし決議」)で行うことはできませんので留意する必要があります。
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