多くの社会福祉法人においては、平成29年6月に定時評議員会が開催され、決算が承認されることと思います。そこで、今回は、新社会福祉法における、決算承認のスケジュールにかかる留意点を記載いたします。
1.決算承認理事会と定時評議員会の間隔
決算承認のための理事会と定時評議委員会は、中2週間(中14日間)以上あけることが必要です。
これは、計算書類等は、定時評議員会の日の2週間前の日から5年間、その主たる事務所に備え置かなければならないとされているからです(法45条の32①)。その趣旨は、評議員が決算の承認の可否を行うにあたり、事前に準備と判断の機会を与えるためです。
従って、例えば6月23日に定時評議員会を開催する場合は、理事会は6月8日までに開催する必要があります。(「2週間後」ではないので、ご留意ください。)
なお、これは決算の承認時のみに適用されるものです。通常の理事会と評議員会は同日開催しても問題はありません。
2.新理事長の選定
定時評議員会が終了したら、速やかに新理事による理事会を開催して新理事長を選定する必要があります(法45条の13③)。
その理由は以下のとおりです。
附則14条により旧理事の任期は、施行日以後最初に招集される定時評議員会の終結の時までとするとされています。すなわち、旧理事の任期は今年の定時評議員会の終結の時点で終了します。
一方、理事長は理事であることが前提なので、旧理事の任期が終了した時点で旧理事長の任期も終了することになります。
そこで、定時評議員会で新理事が選任されたら(法43条①)、速やかに理事会において新理事長を選定する必要があるというわけです。
なお、上記の通り、この場合は評議員会と理事会は同日に開催しても問題はありません。むしろ、同日開催のほうが望ましいといえます。なぜならば、定時評議員会の日よりも後の日に理事会を開催すると、その間は、理事長が存在しない空白の期間となってしまうからです。従って、同日開催できない場合は、なるべく間を空けないで理事会を開催することが望まれます。
なお、社会福祉法人制度改革Q&A(平成29年4月25日現在)問149においては、
「平成29年度の新理事による理事会の開催(理事長の選定等)について、新評議員による定時評議員会(決算、新役員等)と同日に開催しなくてもよいのか。【8/22付けブロック別担当者会議FAQ問13同旨】」という質問に対して、
「1.評議員会で新理事が選任された後、新理事による理事会を開催し、速やかに新たな理事長を選定することが必要である。
2.なお、理事会の招集手続きの省略等により同日開催することも可能であり、同日開催としない場合にも、速やかに理事会において理事長選定を行うことが必要である。」という回答が記載されています。
次回は、新理事による理事会の開催方法について記載します。
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