2018年12月18日火曜日

LEDランプと修繕費

1.LEDの特徴
 LEDとははLight Emitting Diodeの頭文字をとったものです。日本語では発光ダイオードといいます。
 このLEDは従来の白熱灯・蛍光灯と比べて、少ない消費電力で使用でき、熱の発生も少なく、寿命も長いことが特徴です。
 そのため、企業等においても蛍光灯からLEDに変えるところが増えてきています。

2.収益的支出と資本的支出との関係
 従来の蛍光灯からLEDに取り替えた場合、その取替費用につき、税務上の処理が問題となります。

 税務上、資本的支出については、法人税法基本通達7-8-1では「法人がその有する固定資産の修理、改良等のために支出した金額のうち当該固定資産の価値を高め、又はその耐久性を増すこととなると認められる部分に対応する金額が資本的支出となる」とされています。

 また、収益的支出については、法人税法基本通達7-8-2で「法人がその有する固定資産の修理、改良等のために支出した金額のうち当該固定資産の通常の維持管理のため、又はき損した固定資産につきその原状を回復するために要したと認められる部分の金額が修繕費となる」とされています。

 LEDは、上記の通り、従来の白熱灯や蛍光灯と比べて機能が高いものといえます。
 そのため、LEDの取り替えにかかる支出は、感覚的には資本的支出になりそうな感じがします。

3.LEDへの取替費用は修繕費
 しかしながら、国税庁の質疑応答事例では、

「当社では、節電対策として自社の事務室の蛍光灯を蛍光灯型LEDランプに取り替えることを考えていますが、その取替に係る費用については、修繕費として処理して差し支えありませんか。」

という照会に対して、

蛍光灯を蛍光灯型LEDランプに取り替えることで、節電効果や使用可能期間などが向上している事実をもって、その有する固定資産の価値を高め、又はその耐久性を増しているとして資本的支出に該当するのではないかとも考えられますが、蛍光灯(又は蛍光灯型LEDランプ)は、照明設備(建物附属設備)がその効用を発揮するための一つの部品であり、かつ、その部品の性能が高まったことをもって、建物附属設備として価値等が高まったとまではいえないと考えられますので、修繕費として処理することが相当です。」

という回答を出しています。

 なお、この質疑応答事例では注記として
平成29年7月1日現在の法令・通達等に基づいて作成しています。
 この質疑事例は、照会に係る事実関係を前提とした一般的な回答であり、必ずしも事案の内容の全部を表現したものではありませんから、納税者の方々が行う具体的な取引等に適用する場合においては、この回答内容と異なる課税関係が生ずることがあることにご注意ください。」

 とされていますが、上記の通り、LEDの取替費用は収益的支出として修繕費で処理して、まず問題はないと考えられます。
 修繕費としてよい理由は上記の国税庁の回答のとおりですが、私見では、これは日本政府がLEDを普及させたいという思惑があることから、税務上もLEDの普及を促進するために損金算入を認めてバックアップしているのではないかな、と思っています。
 
 なお、会計上の処理ですが、税務上の考えが会計上の考えになるわけではありませんが、このLEDの会計処理については、上記の国税庁の見解は会計の観点から見ても妥当ではないとはいえませんので、修繕費として処理して問題はないと考えられます。